最近よく聞くようになった「旅育」という言葉。食育のように、家族旅行を通じて生きる力が育つという考え方だそうです。
近所の散歩から海外旅行に至るまで、いろんな場所を見て回るのが好きな我が家。たしかに、たくさんの旅行経験から長女は様々なことを学んでいると確信しています。
今回は、思春期となった今の長女を見て、小学生のときにさせておいてよかったと思うことをまとめてみました。
Contents
小学生の間にこだわった2つの旅育とは?
1.国内旅行では何か1つを〇〇〇
正解は、国内旅行では何か1つを「作ってみる」。
出かけた先では、必ずと言っていいほど何かの体験コーナーを利用していました。
陶芸に挑戦したり、ローソクを作ってみたり、オルゴールに表札にグラスの絵付けにパン作り、チーズなど・・・もう覚えきれないほど。
長女はあまりコツコツタイプではないので苦戦することが多いのですが、でも何かを作るのは好きなタイプ。
この体験コーナーは、今にしてみると子供の忍耐力や集中力、想像力の成長に、とても役立っていたと思います。
何より、家族で踏ん張って成し遂げたという絆は、強く感じているのではないでしょうか?
ちなみに、コツコツタイプではない長女の場合は、作り始める段階ですでに完成した気分になっている様子。作っている途中で苦戦するのは、本人にとって出来上がりまでが予想外に遠いからだと思うんですね。
と、言うことで、完成までの道のりがそう遠くはない制作物を選ぶようにしていました。
簡単で単純なものでもいいから、「最後まで作った!」という達成感を一番大切にしたいと思って。
旅行中に体験コーナーを取り入れると、かなり時間を割くことになるので非効率な気がします。けれど、この遠回りが後々の成長の役に立てばいいなと期待していました。
そして、思春期の今でもノート作りや画像制作、友達へのプレゼント作りに凝っていて、そのプレゼントには必ず凝った手紙をつけてコミュニケーションの輪を広げています。
2.海外ではできるだけ多くの〇〇〇
正解は、海外ではできるだけ多くの「景色を観る」。
これは、たくさんの景色を観るために、タイトなスケジュールを組んで動き回るということではないんです。
この「景色」はキレイな風景だけを指しているのではなくて、海外の異文化やそこに住む人たちの考え方、住環境から社会事情まであらゆるものになります。
ですので、観光するときには、現地の色が濃い、地元の人たちが生活するローカルエリアを中心に選ぶことが多いです。
せっかく日本とは違う世界に来ているので、できるだけ日本の常識をひっくり返すような光景を家族で見て回りたいなと。
たとえば、マレーシアのペナン島のプールで現地の女性たちがヒジャブを被ったまま泳いでいる姿を見たときには、親子ともども衝撃を受けました。
邪魔じゃないのかと。
日本でそんな光景を見ることは、まずないですよね・・・。
「ヒジャブ」とは、イスラム教徒の女性が頭部を隠すために被る、スカーフのようなものです。
別の国では、たくさんの観光客が往来する歩道の端っこに、ダンボールを敷いて寝ている青年たちを見かけることもありました。
いつか必ず踏まれるよ、と思う場所なのですが、慣れているんでしょうか?
また、島国の日本ではまず経験のできない、隣町へ行く感覚での国境超え。
日本から海外へ行くときには、出国手続きをすませて~待機時間があって~搭乗して~・・・と、かなりの時間を使って移動します。
けれど、国によっては知らないうちに隣国へ移動していたというところもあるほど。国境をまたいだ通勤ラッシュもまた、日本では見ることがない光景です。
国が違えば文化や生活形態がガラリと変わるということを、できるだけ家族で体験できればと思ってきました。
これが今では、どんな国の人と出会ってもカルチャーショックを受けることがない気質に育っていて、違う世界の人を受け入れる柔軟性や寛容力があります。
かなり効果あり?親の動揺から学ぶこと
旅にトラブルはつきもの。
とくに海外では言葉が通じないことがハードルとなって、思わぬ困難に出会うことが・・・。
そんなときの私たち親の後ろ姿って、相当動揺しているんだと思います。
とくに言葉が通じないのに交渉しなければいけないときは、幼稚園以来のお遊戯並みで、必死にジェスチャーをして乗り切ります。
だって諦めたらそこで最後。
もうお国に帰れない・・・というトラブルだってあるほどです。
そんなピンチの親の後ろ姿は、こんな感じなんだと思います。
- 日頃子供のことをわかった風に接する親がアタフタしている
- 途中で諦めずにあらゆる手段を使ってくる
- トラブルを乗り切ったときのドヤ顔がスゴい
どれも、子供にとっては新鮮で、かなり印象に残っている様子。
そして、子供が何か困った事態に陥ったときには、「あ、今真似てるんだ・・」と思うことがよくあり、こうした姿を見たときは旅育の効果を強く感じます。
「大人になったら勉強しなくていい」と、子供時代に思ったことはないですか?
大人だからもう失敗しないとか、親だから間違わないと言った、子供ながらの大人のイメージ像があると思うのですが、こうしたトラブルの局面ではその考えも覆されるようです。
親の姿から、自分も自信をもって失敗してほしいと思います。
小学生の子供たちだけで旅をする効果とは?
「旅が生きる力を育てる」という考え方の旅育は、なんと言っても家族で旅行をして絆を深めるという根幹があってこそ成り立つそうです。
旅先で得た貴重な体験を少しずつ蓄積して、後に子供は自分で応用に使うことができるようになっていきます。
ですから、きっと困ったことがあってもなんとか乗り切るだろうと思って、こんなツアーにも参加させていました。
「小学生時代に子供たちだけで旅をする」
こうして書くと、なんとハードルの高いことを!と思われるかもしれません。
けれど、今は子供だけが参加する体験型旅行ツアーがたくさん実施されているので、それを最大限に利用しました。
やっぱり安全は第一なので。
そして、子供たちだけの体験型旅行ツアーには、日帰りコースから1週間近いものまでいろんなタイプがありますが、選ぶときの重要ポイントとして子供にスマホを持たせないという方針のものをチョイス。
親も子供に直接コンタクトを取る術がないので、事実上完全に小学生の子供と親が切り離された環境になります。
子供の好奇心をくすぐる魅力的なカリキュラムが多くて、長女は毎回張り切って参加していました。
やっぱり、小学生の年代では、すでに親から自立したいという自我がしっかり芽生えてきているんですね。
初めて子供だけのツアーに参加したのは、小学校一年生のときの日帰りコース。小学生旅行のサポート体制に信頼のおける企業に出会えたので、まずは日帰りコースからトライしてみました。
最初の頃は友達と一緒に参加していたのですが、その内に都合があう友達がいなくても「現地で友達ができるから」と、一人で意気揚々と参加することが増えていきました。
当然ながら、旅先では友達とのトラブルや自分の身の回りのことがままならなくて、困ることもあった様子。
(エージェントからは後日レポートを貰えるので、ツアー中の様子がよくわかるんです。)
そんなときでも、帰りたいとは絶対に言わなかったようですし、きちんとその場でトラブルを解決して戻ってきていました。
これがまた、次のステップの自信に繋がるんですね。
子供たちだけで旅をすることで、自立心や協調性、積極性がどんどん育っていくなと、感じたものです。
経験を一気に開花させる貴重な時期とは?
小学生までは、とにかくたくさんの知識を自然に習得していく、大切な時期ですね。
とくに、最近よく聞くのがゴールデンエイジという言葉。
海外のスポーツの世界では、古くからこの考え方が浸透していたようで、神経系が著しく発達し完成をむかえると言われている9歳から11歳の頃を指すそうです。
そして今、ゴールデンエイジの時期は単に運動神経が良くなるだけではなく、脳が柔らかくなんでも吸収できる一生に一度のチャンスということも言われるようになってきました。
ゴールデンエイジをむかえた頃は、それまでに経験して積み上げてきた無数の知識を、一気に応用に活かしていく大切な時期でもあるとか。
と言うことは、小学生低学年までの豊富な経験がベースになるので、ゴールデンエイジのときだけ張り切って体験を積み重ねればいいというわけではないんですね。
ですから、小学生までの成長は、人間形成上とても大切な時期と言えます。
長女の学童期に、ゴールデンエイジという言葉が一般的に使われていたかどうかは記憶していないのですが、とにかく小学生まではいろんなことを体験しておいてもらいたいという思いがありました。
運動や勉強が・・というよりも、一番重視していたのは感性豊かな人間。
一方向の情報だけで物事を捉えてしまわない、柔軟な想像力と表現力をもってもらいたい、と。
そのためには、学校だけじゃなくて、いろんな場面で視野を広げていくことが大切だと思っていました。
自分の世界観とほかとの違いを受け入れて、それぞれに価値があることを知り敬うことができれば、成人して社会に出てからも生きていきやすいのかなと。
小学校低学年までは何かと人の意見に流される長女だったのですが、高学年の頃には自分の考え方をしっかりともって、対人関係のバランスを取っていた気がします。
今、生きている小さな行動エリアから一歩ずつ外に出て、国内も海外も問わず広い世界のいろんな考え方に、これからもどんどん触れてほしいものです。
その貴重な体験をベースにして本人なりの感性を磨いていって欲しい。
我が家の旅育には、そんな期待も込めています。
家族旅行は学校を休んでまで行くべき?
前述のような考え方の我が家なので、長女が小学生のうちは平日に学校を休むこともありました。
ごっそり何日も休むことはないけれど、親の仕事と長女のスケジュール事情から、どこかへ遠出をするときに、暦上の連休に1日多くお休みをくっつける感じですね。
学校を休んで家族旅行をすることには賛否両論ありますが、その家庭ごとの考え方で全然構わないのではないでしょうか?
むしろ、我が家では、子供に素敵な体験を残した旅育の効果が分かっているので、学校に「旅行休暇」があってもいいのではないかと思うほど。
今は共働きの家庭が増えてきて、家族がまとまった時間を作ることが難しくなってきています。
それなのに、たとえばゴールデンウィークの飛び石連休の間に、健康診断や運動会の種目決めなど、休むと子供にリクスがある行事を入れる小学校もあると知人から聞くと、ちょっと寂しい話だと思ってしまいます。
中学生以降になったら部活動も忙しくなりますし、授業が一つ飛ぶと勉強の遅れも心配ですね。
ですから、柔軟に動ける貴重な時間は小学生まで、と我が家では割り切って考えてきました。
ただ、学校を休ませるときに「旅行に行くから休むよ」という安易な伝え方をしないように、説明の責任は親にあると肝に銘じるようにしています。
ちょっと恥ずかしい話
私は昔から地球儀や地図を見るのが大好きで、中学生のときまで「赤道近くの国の空気は赤い」と信じていたんですね。地球儀の赤いラインが悪いと思います!(笑)
はじめての海外旅行でシンガポールへ旅行したときに、それはもう衝撃的でしたよ。普通の空色だから。さすがに日付変更線を超えて海外へ旅行したときには、もう点線は探しませんでしたが。
今でも私にとっては、机上の知識を実体験した貴重な思い出になっています。