中国人観光客のおかげで大変な話題となっている、富士山のパワースポット忍野八海。
神秘的な澄んだ水が有名なので気にはなっていたのですが、これまでなかなか行く機会がなく・・・。今回、やっと忍野八海を観光できました。
でも、いざ行ってみると8つの池がまばらに点在し、噂通りのものすごい混雑で、忍野八海についての予習なしでは人ごみに疲れるだけ。とても、心静かにパワーをいただく雰囲気ではありません。
そこで、今回の旅で得た情報を元に、パワースポットの池8箇所すべてを、混雑回避しながら静かに拝める順路でまとめてみました。これから観光に行かれるなら、どうぞご参考くださいね。
パワースポット忍野八海の由来とは?
富士山の伏流水に水源を発する湧水池が・・・と、どこを見ても難しそうなことが書いてあるのですが、簡単に言うと、忍野八海の池は富士山の湧き水でできているということ。
富士山周辺というだけでも尊さを感じますが、この忍野八海に湧き出す水は、富士山の雪解け水が79年もの歳月をかけて濾過されて、ここに辿りついているそうです。
その月日の長さを思うと、自然の神秘を感じずにはいられないですね。
音もなく、でも勢いよく水が湧き出る忍野八海のそれぞれの池は、至るところで富士山との美しい景観を見せてくれました。
そんな忍野八海は、江戸時代の富士道者が、富士登拝前に身を清める巡礼地として訪れていた場所。
ここに、一番霊場から八番霊場までの池が存在します。
それぞれの池には、法華経の教えに基づいて八大竜王が祀られています。
かつて、巡礼の地だったことからパワースポットとされているのですが、もう一つ、忍野八海の8つの池が北極星と北斗七星をかたどっているということも、パワースポットと言われる所以。
忍野八海の中でも、1つだけ遠く離れた場所にある「出口池」が、北極星にあたるそうです。
こうした仏教思想(富士信仰)と、形状や水質・水量、保全状況、景観などから、昭和9年に国の天然記念物(文化財)に指定され、昭和60年には全国名水百選の一つに、平成25年には世界文化遺産に登録されました。
忍野八海の混雑はこうして避ける
1.混雑を回避するおすすめの時間帯は?
残念ながら、今は海外からの観光客が大半を占めているので、曜日に関係なく大混雑しているようです。
確かに、実際に行ってみると、日本人と遭遇する率の方が低い。
そこでおすすめなのが、朝の早い時間帯です。それも、忍野八海にあるお土産店や飲食店がオープンする前の、9時前までの時刻。
忍野八海の観光には営業時間がないので、どんなに早朝に訪れても、自由に池を回ることができます。
そして、9時を過ぎる頃から、海外の観光客を乗せた「御一行様」バスが続々と到着。1台の大型バスからは、40人前後の人たちが降りてくるので、小さなエリアの忍野八海はすぐに人で溢れてしまいます。
ご参考までに、私たちは日曜日の朝8時半に到着しました。
すでに何人かの人影はあったのですが、この時間はまだ観光客が少なくて、朝の緊張感がある空気の中を静かに散策することができました。しかも、駐車場も選び放題です。
ただ、忍野八海の周囲には、普通に民家があります。
民家の中に、池があると言った方がいいのでしょうか。
ですから、とくに早朝や夕暮れどきは、騒音に気をつけて観光したいものですね。
2.混雑回避のおすすめ順路の選び方
本来なら、パワースポット忍野八海のご利益を最大限にいただくための、おすすめの順路があります。それが、一番霊場から八番霊場までを順番に巡る方法。
けれど、もう午前中からかなりの混雑をする忍野八海でその順番に回っていると、メインどころでは池にも近づけなくなりそうです。
せっかく観光にきたのだから、青く透き通った池の水をしっかりと目に焼きつけたいところ。
と言うことで、ここではあくまでも混雑を回避することを目的にして、もっとも遠い「出口池」と有料施設内にある「底抜池」は最後に回ります。
そんな混雑回避という理由で決めた忍野八海おすすめ順路は、次のようになりました!
3.おすすめ順路と池の特徴を知って出発!
観光開始の時間は、朝の8時半。
それでは、忍野八海の観光スタートです!
一番霊場「出口池」は離れた場所にあるのでここには乗っていません。
【1つ目:五番霊場の湧池】
忍野八海を代表する池なので、一番に見に行きました。
池の奥深くには迷路のような水中洞窟が存在していて、そこから湧池に毎秒2.2立方メートルの豊富な水をもたらしているとか。
そのため、忍野八海一の湧水量と言われています。
水深4mのこの池の中を悠々と泳ぐ魚の姿を眺めていると、とてもそんなに力強い池とは思えないので不思議です。ゆったりとしていて、とても穏やか。
そして、ここから見る富士山との景観は、これまた絶景です。
【2つ目:七番霊場の鏡池】
晴れた日は、池の水面に富士山が美しく映し出されるので、この名前がついているそうです。富士山が映り込む位置は一か所です。
本当は、もっと後ろに下がると富士山が大きく映り込んだのですが、何せ海外旅行客が立ちはだかっていまして、ちょっと残念な映りになってます。
まぁ、みんなの富士山なので、致し方ないですね(笑)
【3つ目:八番霊場の菖蒲池】
本来なら、巡礼地として最後の池にあたる八番霊場。
ここには菖蒲の中でもキショウブが自生しているそうなので、初夏には爽やかな光景が広がりそうです。
【4つ目:六番霊場の濁池】
どちらかと言うと、川の中にあるような池で、流れがあります。「濁池」という名称ですが、流れが強い分、どこの池よりも一番澄んでいて水が美しい。
池の底では、セキショウモという草がゆらゆらと水に揺れて、日光があたって青々と輝いていました。
【5つ目:四番霊場の銚子池】
銚子池は縁結びのパワースポットとして伝えられていて、恋人募集中なら必ず訪れたい池。
ちょっと上手く写真が撮れませんでしたが、この池の水もとても澄んでいて、3m底までしっかりと見通せます。
それもそのはず、池の底から砂が巻き上がるほど水が湧き出ているのを、上からしっかりと見ることができるんです。富士山の神聖なパワーが、溢れ出している感じです。
【6つ目:二番霊場のお釜池】
かなり小さくて、ひっそりした場所にありました。
狭い池ではありますが、湧水は豊富だとか。一部だけ深くなった水深4mの穴の底も、しっかりと見ることができます。
【7つ目:一番霊場の出口池】
出口池は、一番霊場として富士道者の水垢離(みずごり)の始まりとなる重要な池。
忍野八海の中で、1つだけ遠く離れた場所にあって、ひっそりとした静寂がさらに神々しさを醸し出していました。
忍野八海から出口池までは徒歩で片道15分ほどもあるので、ここまでくる観光客はほとんどいません。それだけに、池をほぼ独占して、静かに観光することができます。
ですから、他の池を先に回って出口池を後回しにするのは、混雑回避にとてもおすすめ。
さらにおすすめなのは、出口池には観光用の手が加えられた感じがしないこと。古来の巡礼地そのままの景観を見ることができます。
広さはあっても水深は50cmと浅く、あまりパッとしない池ですが、8つの池の中でもっとも神秘なパワーを感じられるスポットなのではないかと思います。
それもそのはず。
出口池の一番奥には富士山の神聖な湧き水が。山肌には尊い出口稲荷大明神の神社が佇んでいました。
【8つ目:三番霊場の底抜池】
ここだけ、忍野八海の有料資料館(入場料300円)の中にあります。ですから、やはり外の池に比べると観光客が少なくて、後回しにするのが得策です。
残念ながら、ちょうど富士山に雲がかかってしまったのですが、本当はこのかやぶき屋根の家屋の後ろに、雄大な富士山を重ねて見ることができます。
そして底抜池は、この日本の昔の風景と富士山が重なる見事な敷地の一番奥に、静かに横たわっていました。
水深1.5mだそうですが、周りの樹々が映り込んで池に深みを出している感じ。
忍野八海の中で一番澄んだ水が見られる池なのではないかと思うほど、美しい光景でした。
4.混雑回避おすすめ順路での所要時間は?
最後に回った「三番霊場の底抜(そこなし)池」の観光が終わると、時刻は11時半。
私たちは随分のんびりと遊びながら回ったのですが、それでも所要時間3時間ほどで忍野八海すべての池を見ることができました。
どの池でも、ゆっくりと景色を眺めながら散策を愉しめたし、有料施設の榛(はん)の木材民族資料館の敷地では、カモや鯉にエサやりもしました。
途中では、忍野八海のエリア外にある、浅間神社を参拝する時間も十分にありました。
【忍野名物の草餅は焼いてあるので、中の餡子にコクが増してとても濃厚】
忍野名物を食べたりお土産をゆっくりと選んだり、人ごみに押されてイラ~ッとすることもなく観光できたので、日曜日の混雑する中でも上々の出来だったのではないでしょうか。
この順路でサクサク歩けば、2時間で全部の池をしっかりと見て回ることができると思います。
【2つのポイント】
- 忍野八海の中心にある中池とそのお土産物屋さんは、1つ目の湧池を見た後すぐに行くのがおすすめ。
朝の9時を過ぎると一気に観光客の集団が中池とお土産店を目指して訪れるので、お土産店の利用は早めに済ませておく方がいいでしょう。 - 徒歩で出口池まで移動する体力に自信がないときは、二番霊場から八番霊場までを先に観光しておいて、車で一番霊場の出口池へ移動するという方法もおすすめ。
駐車場は小さいのですが観光客も少ないので、駐車スペースには困らないと思います。
タクシーで移動してくる方もいらっしゃいました。
なんと人工?忍野八海中心の中池が立派すぎる
忍野八海の一番中心にあって主役級の大きなこの池は、実は人口池だそうです。
こんなに大きいのに、忍野八海の案内地図に載っていない・・・。
疑問を抱えつつ観光している途中で、人工池だと知りました(笑)
8つの池が点在する真ん中にドーンと位置しているので、忍野八海のことを知らずに行くと、これがメインの見どころだと勘違いします。それほど、豊かな水量と富士山の眺望がすばらしい池です。
忍野八海には、観光地化にともなって人口的に採掘された池がいくつかあるそうです。
今では、忍野八海本来の8つの池の水質問題にも繋がってきているとか。
とは言え、この中池には大型のお土産店やトイレなどが集中していて助かったのも事実です。
しかも、水深10mもある中池の底はとても見事。
また、富士山の湧き水を無料で汲むことができる場所もあるので、行ってみてください。
昔の忍野八海の姿にはこの大きな池がなかったのかと思うと、ちょっと複雑な気持ちに。
忍野八海の水を普段の生活用水に使っていた頃の、ひっそりとした自然の光景を見てみたかった気もします。
忍野八海の観光情報
1.おすすめの駐車場
早朝に到着することができたら、忍野八海の中心に近い駐車場を目指しましょう。
ぜひ忍野八海の真ん中にある「湧池」や「有料資料館」が集中しているあたりまで、車で進んでください。観光客が歩く場所と同じ細い道を走行することになるので、運転には十分気をつけてくださいね。
忍野八海周辺では、自宅の庭を駐車場にしている一般民家が多くて、駐車料金は一律300円でした。とても助かります。
そして、その駐車場出入り口には、ほとんどの家が忍野八海の無料案内マップも置いてくださっているので、これまたとっても便利。
ちなみに、忍野八海入り口付近には大型バスも止められるような大きな駐車場がありますが、こちらは時間制で割高になりそうでした。
2.アクセス
【バスを利用する場合】
- 忍野八海.最寄り駅の、富士急行「富士山」駅で下車。
- 富士山駅から、路線バス「内野行き」か、「ふじっ湖号」に乗車。
- 「役場前」バス停で下車。富士山駅からの所要時間は約25分。
【タクシーを利用する場合】
富士山駅から、タクシー料金3,000円程度。
3.忍野八海に関する問い合わせ先
【忍者村観光案内所】
電話番号 0555-84-4221
開館時間 9:00~17:00
【忍野村役場観光産業課】
電話番号 0555-84-3111
開館時間 8:30~17:15
休館日 土曜日、日曜日、祝祭日、年末年始
編集後記
さすが、富士山の麓は東京とは気温がまったく違います。少し寒の戻りがあったとは言え、この日(3月中旬)の気温は3℃!
真冬です。
そして、忍野八海へは、とにかく早朝に出かけるのがおすすめ。4月中旬頃までは、朝は多分かなり冷え込んでいると思うので、少し厚手の服装でお出かけくださいね。