世界遺産ホイアンの夜を彩るランタンはあまりに美しく幻想的で、今や魅了された観光客が世界中から押し寄せてきています。
今回私も、ホイアンの非日常の世界に引き込まれるようにして辿り着いたのですが、現地スタッフと観光客の押し問答に、やたらと出くわすことに。
この理不尽さ、知らずにホイアンに出かけると大きな心の損失です。
とくにツアーを利用せずに、個人でホイアンの旧市街観光を予定している場合は、ぜひご参考くださいね。
先にお伝えすると、この情報さえ掴んでおけばムッとすることはないでしょう。
むしろ、美しすぎるホイアン旧市街での素敵な感動だけを、持ち帰ることができますよ。
Contents
ホイアン旧市街の本来の観光チケットとは?
世界遺産ホイアン旧市街を紹介する観光ガイド本には、必ずと言っていいほど観光チケットのことが説明されていると思います。
この観光チケットは、世界遺産であるホイアンの街を存続させるために使われる維持費にあてられるそうです。
海抜が低く、毎年11月前後の台風では年に数回も街全体が水没するホイアンにとっては、とても大切な収入源となるわけですね。
もし、まだ観光チケット情報についてご存知ないなら、次で説明する観光チケットの本来のシステムを、まずはサックリと読んでみてくださいね。
1.観光チケットで何ができる?
1セット5枚綴りになっていて、右側の5枚のチケットでホイアン旧市街の観光名所5箇所を回ることができます。
1か所につき1枚ずつということで、もし6か所を観光する予定であれば、2セットを買うことになります。
ホイアン旧市街で観光チケットが必要な名所は、博物館や中華会館など全部で18か所あります。
【チャンフー通りにある廣肇(かんとん)会館】
2.観光チケットの値段は?
1セット5枚綴りが120,000ドン。日本円にすると約600円です(2017年8月時点)。
5年くらい前までは1枚90,000ドンだったので、今のベトナムの物価急上昇に合わせて、徐々に料金が値上がりしているようですね。
3.観光チケットの有効期限は?
原則24時間だそうです。
(けれど、現地の観光ガイドさんの話しでは、1滞在中は有効とのこと。
この違いの詳細は、後ほどご紹介。)
4.観光チケット購入場所
ホイアン旧市街への入り口にあたる7か所に設置された、総合チケット売り場のブースで買えます。
営業時間は7:30~21:30(年中無休)。
けれど、私が通った場所では、午前中にブースの中にスタッフを見かけたことはありませんでした。
【中央の白いパラソルの隣りにある建物がチケット販売ブース】
観光チケットを複雑にしている要因は?
観光チケットの建前は、前述のようになっています。
けれど、実際にホイアンへ観光に出かけてみると、なんだか様子が違う。
どうも最近、この観光チケットシステムの在り方が、変わってきているようなのです。
1.観光チケットには2つの意味がある
各観光名所の建物の見学では、観光チケット右側の綴りを1枚ずつ切り取って使うというのは、今も変わりません。
【チャンフー通りにある中華会館】
ただ、ごく最近になって、この観光チケット自体が、どうも旧市街への入場料の役割を果たしているようなのです。
ですから、ホイアンの旧市街観光へ出かけるには、観光名所の建物を回らなくても17歳以上の全員がこの観光チケットを買うことになっていました。
この点が、私が今回ホイアン旅行で現地に行って初めて知った事実です。
ガイド本での予習と違うんですけど(笑)
2.観光名所を6か所回ると入場料2倍?
もし観光名所を6箇所巡ろうと思うと、1セット5枚綴りの観光チケットが2セット必要になります。
2セットを購入するので、必然的に旧市街への入場料が2倍ということになります。
・・え?って感じですね。
3.ここに泊まってます!は通用しない
世界遺産に指定されている旧市街エリアへは、車両の進入が禁止されています。
バイクやシクロも、時間帯によっては旧市街エリアの内側には入れません。
そのくらい、世界遺産のエリアが保護されているので、エリア内にあるホテルも小規模のものが2個程度あるだけ。
見方によっては、世界遺産に指定される前からあったホテルだとも受け取れる感じです。
それに対して、旧市街の対岸のアンホイ島には、いくつもの宿泊施設があります。
けれど、『世界遺産ホイアン旧市街』エリアの外側にあたるアンホイ島でも、その西側の入り口にブースが設けられていて、ブースを通ってアンホイ島のホテルへ戻るには観光チケットが必要だと言うことなのです。
下の地図で示すと、西側の「A」のポイントですね。
【濃いベージュラインの内側がホイアン旧市街エリア】
旧市街のエリアとは、ファンチューチン(Phan Chu Trinh)通りからトゥボン川沿いのバクダン(Bach Dang)通りに挟まれた茶色の枠の地域で、アンホイ島は旧市街エリアの外になっています。
私が見かけた現地スタッフと観光客のトラブルは・・・、
入場料のことを知らずにアンホイ島のホテルにチェックインをして、ホテルから外出した時にこの「A」ポイントの外に出てしまい、もう一度「A」を通ってホテルに戻るところ
での一悶着だったようです。
突然「観光チケットを買ってください」と言われて、なんのことか理解に苦しむ北欧系の宿泊客グループが、「いやいや、俺たちここに泊まってるんだけど」と説明を繰り返すも、話は平行線。
しばらくスタッフと揉めた後で、結局支払っていました。
ちなみに、私が見つけた観光チケットブースやスタッフが立って入場チェックをしている他の4か所にも丸を付けたので、参考にしてみてください。
たまたま見かけなかったのか、この雰囲気でいくとファンチューチン通りと縦に交わるハイパーチュン通りにも、ブースがありそうですね。
合計7か所にブースがあるということなので、東側エリアのどこかにもあると思われます。
4.販売スタッフによって対応バラバラ
これが、一番観光客を惑わせますね。
わざわざチケット販売ブースに立ち寄っても「購入は不要」と言われることもあれば、旧市街の中を散策していると呼び止められて、観光チケットの提示を求められることもあります。
そんなホイアン旧市街で、最も情報が混乱している場所が来遠橋(日本橋)。
- 橋の中を通るだけでもチケットが必要なケース
- 橋の中にある小さなお寺に入ると購入を求められるケース
- カメラをぶら下げた、いかにも観光客スタイルをしていると声をかけられるケース
など、とにかく観光チケットへの対応がバラバラ。
ただ、ガイド本などの情報によると、そもそも来遠橋(日本橋)は観光チケットの対象スポット。
ですので、チケットが必要なのは間違いないのですが、観光するときに、その場にスタッフがいるかいないかで対応が違っているのだと思います。
私は知らぬが仏で、来遠橋(日本橋)はノーパスで何度も通行していました。
観光ツアーで旧市街入りする時はどうなる?
オプショナルツアーに参加して、ホイアン旧市街の観光へ出かける場合、通常はガイドさんが観光客用のチケットを用意しているので心配ありません。
観光名所だけでなく、旧市街への入場料も払ったことになるので、安心して散策してくださいね。
ただ、ツアー観光の途中でも、フリータイムを取ることもあるかと思います。
そのときには、入場料のことを旧市街の現地スタッフに聞かれたらどうすればいいかを、ガイドさんに確認しておくことをおすすめします。
現地ガイドも困惑の観光チケット制度
実は、ホイアン滞在中に、一度夜の観光ツアーを利用したのですが、そのときに現地のガイドさんへ次のことを聞いてみました。
「観光チケットはいつまで有効ですか?」
答えは「1滞在中ですよ」とのこと。
1滞在中って、3日と1週間では随分違ってくる気がします。
この期間は、ガイドさんにも分からないとか・・・。
「1ヶ月はさすがに無理だと思うんですよね」とまで(笑)
この観光チケットが、「観光名所への入館料だけだった元来の観光チケット」の場合は有効期限が24時間だったのですが、現在は街への入場料を兼ねているので、かなり曖昧です。
おそらく、現地の観光ガイドさんの間でもまだ情報が統一されていないですし、街としても入場料の運営自体が未確定なのではないかと思います。
個人旅行の私が支払いをスルーした2つの理由
4日間もホイアンに滞在し、毎日朝・夕・夜と旧市街へ何度も出入りした私ですが、結局一度も「観光チケットを買ってください」の声はかかりませんでした。
そんな私が言うのはおかしな話ですけど、なんだかやっぱり理不尽ですよね。
もちろん、一枚は持っていたので、いざ声がかかれば提示はできますが、では、なぜ4日間もの間呼び止められなかったのか、ちょっと分析してみました。
ネックは
- 何時に旧市街へ行ったか
- どこから旧市街へ入ったか
の2つです。
(1)は、宿泊したホテルの部屋に置かれていた、ホイアン旧市街のインフォメーションに載っていたのですが、8:00~11:00と15:00~21:30の間は観光チケットの提示が必要とのこと。
私が旧市街へ入った時刻は、
- 1日目は15:00前
- 2日目は夜に観光ツアーのガイドさんが同行
- 3日目は16:00頃
- 4日目は8:00前
ちなみに、3日目の16:00頃は、私が通ったチケット販売ブースにはまだスタッフがいなかったので、声をかけられることもありませんでした。
(2)の旧市街への入り口については、比較的徴収されにくい場所があるとのことです。
たしかに、ホイアンの旧市街を散策していると、旧市街の西側にある幾つかのチケット販売ブースの方が賑わっている印象でした。
反対の東側(ホイアン市場がある方面)は、あまり徴収されないという書き込みを見かけたので、ブースの活気にはムラがあるのかもしれません。
トラブルを回避する観光チケット対処法
街への入場料が必要だと知らずに、大勢のグループで旧市街の入口へとやってきた観光客一行が、入口に立ちはだかるスタッフと大揉めしているシーンを何度も見かけました。
とくに、中国人のご一家ともなれば、大家族ですから。
せっかく遥々やってきた世界遺産ホイアンを楽しんで帰るためには、旧市街への入場料のシステムを理解して、最初からチケットを買って旧市街の中に入るのが一番スッキリ。
これが、ホイアンでの素敵な思い出だけを持って帰る、最善の対処法だと思います。
旧市街を散策していても、巡回中のスタッフから「観光チケットを見せてください」と言われることもあるそうです。
そんなときは、観光チケットを提示すればいいだけ。
今、ホイアンの入場料金システムが変わりつつあるということを知っておくだけでも、嫌な気分にならずに楽しめると思います。
【世界遺産ホアイン旧市街を走る観光用のシクロ/1時間5万ドン程度が相場】
観光名所の建物を見学するときに使う観光チケットが、旧市街への入場料を兼ねるようになったのも、多分ですけど2016年頃からではないかと。
それまでの幾つかの観光ガイド本やクチコミには、街への入場料金のことについて触れていないので。
この先も、ホイアン旧市街への入場システムが、色々と変わっていきそうです。
編集後記
観光名所に入るための入場料と、時間によって必要になる旧市街への入場料が1枚に綴られていたら、それは観光客には分かりづらいですよね。
観光名所と旧市街への入場料用チケットは別にするとか、ホイアン宿泊者には滞在費用に街への入場料を含めておいて、チェックイン時にチケットを配布するとか、そろそろ、何かしら観光客に分かりやすい対策が取られることを願います。
本当に素敵な街なんですから、いい思い出だけを持り帰りたいし、また行きたいとも思いたいものです。